目次
目標設定の研究で測られたこと: 1975年と1982年の2つの現場実験6本の比較: 料金、対応端末、ストア評価SMARTのどの文字に欄があるか: 6本の確認結果Strides: ストアの説明でSMARTを正面から打ち出している唯一のアプリTodoistとTickTick: 同じ「目標」でも中身が違うNotion: 数値プロパティと、その周りに自分で作る仕組み継続する技術: 続けられる大きさの目標から始めるアプリRoutinery: 目標値の欄がないので、毎日の手順を支えるAとR: 自分で決めるしかない2文字3週間後: セルフモニタリングの数字選び方: いつも抜け落ちる文字から考えるはじめ方: 目標を1つ、アプリにある欄に入れてみるよくある質問: SMARTの法則で目標管理できるアプリ最終更新日: 2026年10月19日
結論: SMARTの法則のために作られたアプリに一番近いのはStridesです。Target(目標)トラッカーで数値と期限日を一緒に設定でき、ストアの説明でもSMART目標の設定を順を追って案内しています。Todoistにも「目標」の数字はありますが、数えているものは完了したタスクの数です。TickTickは習慣に1日の目標量をつけられるので、「1日2ページ読む」を入れる場所があります。Notionは数値プロパティを進捗バーで表示できます。残りの仕組みは自分で作ります。Routineryには目標値の欄も期限の欄もなく、継続する技術でもストアの説明からは確認できませんでした。この2本は、毎日の実行を支えるアプリとして紹介します。達成可能か(A)と自分にとって意味があるか(R)は、どのアプリでも自分で判断します。(料金と評価は2026年10月19日に日本のApp Storeで確認)
タスク管理アプリを開いて、目標を打ち込んでみてください。たいていのアプリには、自由に書けるテキスト欄が1つあるだけです。何でも受け付けます。「簿記2級に受かる」と打っても「11月の試験までに過去問を8回分解く」と打っても、アプリにとってはどちらも同じ1行のメモで、手帳に書いたSMARTの5文字は、それぞれを入れる欄が画面になければ生かしようがありません。そこで6本のアプリそれぞれについて、SMARTのどの文字に専用の欄があり、どの文字はアプリに入れられず自分で覚えておくしかないのかを確かめました。
目標設定の研究で測られたこと: 1975年と1982年の2つの現場実験
SMARTのS(具体的)の裏付けになっているのは、林業の運搬現場で行われた2つの実験です。どちらも対象はかなり限られた研究です。「ベストを尽くせ」と言われていたトラックの運転手は、何年も法定積載量をかなり下回る量しか積んでいませんでした。指示を「法定積載量の何%」という具体的な数字に変えると、積載量は9か月で法定上限の60%から90%まで上がり、1975年のこの実験では25万ドルの節約になりました。ロック(Locke)とレイサム(Latham)が後年まとめた論文での数字です。1982年の2つ目の研究は、同じ業界で目標の単位を積載率から1日の運搬回数に変え、18週間で270万ドルの節約につなげています。どちらも古い研究です。1975年に決めたのは量(S)。1982年はそれを1日ごとに区切って、期限の単位(T)まで決めました。この2つなら、アプリの欄に任せられます。
6本の比較: 料金、対応端末、ストア評価
| アプリ | 向いている目標 | 対応端末 | 料金(日本のApp Store、税込) | 評価(日本のApp Store) |
|---|---|---|---|---|
| Strides | 目標の数値と日付を1つにまとめたい | iOS、iPadOS、macOS、watchOS、visionOS(Androidなし) | 無料プランあり。Strides Plusは550円〜25,000円(期間別の内訳はストアで確認できず) | 4.7(223件) |
| Todoist | タスクに分けられて、締め切りが決まっている | Linux、macOS、Windows、iOS、iPadOS、Android、watchOS、WearOS、visionOS | 無料プランあり。Pro 月額890円、年額8,080円 | 4.6(2.2万件) |
| TickTick | 1日の量を毎日くり返したい | iOS、iPadOS、Android、macOS、Windows、Linux、ウェブ、watchOS | 無料プランあり。Premium 月額800円、年額8,000円 | 4.7(1.6万件) |
| Notion | 進捗のルールを自分で決めたい | macOS、Windows、iOS、iPadOS、visionOS、Android、ウェブ | 無料プランあり。プラス 月払い1,800円、年払い18,000円 | 4.6(5万件) |
| 継続する技術 | 小さな目標から毎日続けたい | iOS、Android | 基本無料。App Storeの課金はおまけ機能(980円)のみ | 4.8(5.3万件) |
| Routinery | 計画はあるのに、毎日の実行で止まってしまう | iOS、iPadOS、macOS、watchOS、visionOS、Android | 無料プランあり(ルーティン2つまで)。Premium 月額590円、年額4,200円 | 4.6(3,327件) |
料金はApp Storeのアプリ内課金一覧に出ている金額です。Routineryは私たちが作っているアプリなので、ほかの5本と同じ列、同じ順番で並べ、欄がないものは次の節にそのまま書いています。
SMARTのどの文字に欄があるか: 6本の確認結果
| アプリ | 目標の数値を入れる場所 | 日付を入れる場所 | 数字が数えるもの |
|---|---|---|---|
| Strides | Targetトラッカー | 同じトラッカーの特定の日付 | 目標そのものの単位 |
| Todoist | 生産性の設定にある1日・1週間の目標 | 期限の欄(予定日とは別。ProとBusiness) | 完了したタスク数 |
| TickTick | 習慣の目標で、一定の量をこなす設定 | 習慣そのもののスケジュール | 習慣の単位、1日ごと |
| Notion | 数値プロパティ(進捗バーで表示) | 日付プロパティ | 数式で決めたもの |
| 継続する技術 | 確認できませんでした | 確認できませんでした | 確認できませんでした |
| Routinery | 目標値の欄なし | 期限の欄なし | 習慣の達成回数(日・週・月) |
6本の違いが出る文字はM(測定可能)で、分かれ目は単位です。数字を入れられると確認できたアプリは4本で、そのうち目標そのものを数えているアプリは2本だけでした。
単位があっても、後から思い出して書くと数字はずれます。プログラミング課題105件でキー入力を記録し、実際にかかった時間と学生が後から申告した時間を比べた研究では、申告が実際より長くなったケースが78%、申告と実測の比の中央値が1.45でした。実測の中央値は5.1時間。申告は8.3時間です。対象は1つの授業の学生33人だけで、ほかの場面では結果が違う可能性があると著者たちもはっきり書いています。ただ、後から振り返ると長めに見積もってしまう傾向は、ほかの作業でも起こりえます。アプリに数字の欄があれば、やったその場で入れておけます。
Strides: ストアの説明でSMARTを正面から打ち出している唯一のアプリ
Stridesは記録の種類ごとにトラッカーを使い分けられるので、SMART目標と相性がいいアプリです。種類は4つ。はい・いいえで記録する習慣トラッカー、くり返し測る数値のためのAverage(平均)トラッカー、プロジェクトの日程を見るマイルストーン用カレンダー、そしてストアの説明で特定の日までに目標を達成するためのものとされているTargetトラッカーです。SMART目標の設定を順を追って案内すると書いているのも、6本の中でStridesだけでした。テンプレートが付いていて、リマインダーは無制限。ただしAndroid版はなく、公式サイトにウェイトリストがあるだけなので、Androidユーザーは次の節へ進んでください。
TodoistとTickTick: 同じ「目標」でも中身が違う
Todoistの目標は生産性の設定の中にあり、初期値は1日5タスク、1週間25タスクで、どちらの数字も変えられるうえ、両方を0にすれば機能そのものが止まります。数字はタスクの処理量を表します。リストを片付けたかどうかは分かっても、その中身が目標につながっていたかどうかは、このカウンターを見ても分かりません。
期限(T)には、Todoistに専用の欄があります。作業する予定日とは別の欄で、公式ヘルプでは、タスクを終えなければならない一度きりの固定日と説明されています。ProとBusinessの機能。無料プランでは使えません。タイマーは内蔵されておらず、ポモドーロについての公式ヘルプも、ほかのツールを使うよう案内しています。
TickTickでは、数字は習慣のほうに入れます。習慣ごとに、全部こなせば達成にするか、一定の量をこなせば達成にするかを選べ、後者なら1日の量を入力できます。読んだページ数、水を飲んだ杯数、筋トレの回数など、くり返すことなら何でも入ります。「3月までに達成」のように、ゴールが一度きりの目標は入れる場所がありません。無料プランでは習慣は5つまで。数えたい量ごとに枠が1つ要るので、思ったより早く埋まります。タイマーもあります。
Notion: 数値プロパティと、その周りに自分で作る仕組み
Notionに目標トラッカーはありませんが、作るための部品はそろっています。公式ドキュメントによると、数値プロパティには数字を入れられ、通貨や進捗バーの形で表示でき、件数や達成度の記録に使えます。数式プロパティは同じデータベースのほかのプロパティから値を計算するので、組み合わせれば、既製のアプリにはない自分なりの「進捗」の基準でトラッカーを作れます。失敗すると、3件で止まったデータベースが残ります。年払いの料金はTodoistやTickTickの2倍以上で、ワークスペースのメンバーが2人以上になると無料プランの制限も厳しくなるので、時間とお金の両方がかかります。白紙から組み立てるのが合わないなら、目標管理アプリのおすすめの記事で別の顔ぶれを比べています。期限つきのトラッカーをそもそも使うべきかどうかも、そちらで書きました。
継続する技術: 続けられる大きさの目標から始めるアプリ
継続する技術は、ストアの説明で「続く目標」の設定を手伝うとしている習慣化アプリです。まずは小さな目標から、という考え方です。自宅での筋トレや、食事の記録といった例が挙がっています。記録は1タップ、約3秒。通知は、食後や通勤中のように行動に移しやすい時間に送る作りだと説明されています。数値と期限の欄は確認できず。SMARTでいえばA(達成可能)に近いところを手伝うアプリだと、私たちは見ています。App Storeの課金は、応援コメントの口調を変えるといったおまけ機能だけです。
Routinery: 目標値の欄がないので、毎日の手順を支える
Routineryには、目標の数値を入れる場所がありません。期限を入れる場所もありません。App Storeの説明、公開しているアップデート内容、公式サイトの3つを確認しましたが、数値目標、目標日、進捗率はどこにも出てきませんでした。あるのは、日・週・月単位の習慣トラッカーと達成状況の分析です。曜日と時間帯で予定を組めるルーティンと、実行中のルーティンを1ステップずつ音声で案内するタイマーもあります。分かるのは「朝7時のランニングをやったかどうか」まで。数値と期限が両方ある目標なら、Stridesです。無料プランではルーティン2つまで、チェックリストは無制限で使え、残りの機能はPremiumで使えるようになります。
AとR: 自分で決めるしかない2文字
6本のどれも、その目標が自分に合った大きさかどうかは決めてくれないので、アプリを開く前に自分で決めておく必要があります。2025年の質的研究では、自分で決めた基準を守れなかったときにどうしたかを27人に聞いていて、参加者は量を減らして続けず、その活動ごとやめていました。Aを大きくしすぎて記録がゼロになっても、興味をなくしたときのゼロと記録の上では見分けがつきません。研究は小規模で、参加者は女性と白人に偏っています。著者たちも最初の手がかりと位置づけていて、当てはまる人の割合は出していないので、ここで使ったのは仕組みの部分だけです。
R(関連性)は、さらにアプリから見えないところにあります。目標トラッカーは、もうどうでもよくなった目標でも平気で抱えたままです。何か月たっても通知を送ってきます。
3週間後: セルフモニタリングの数字
目標を立てることと、3週目になってもまだ記録していることは、別の問題です。97人が21日間、食事のセルフモニタリングをした研究では、記録の継続率がサポートの量で大きく分かれました。サポートなしのグループが0.55、手厚いサポートのグループが0.83で、個別のフィードバックを受けたグループはその間です。3グループとも21日間で下がりました。一番早く下がったのはサポートなしのグループです。これは減量プログラムで行われた研究で、目標管理アプリに当てはめるのは私たちの推測です。著者たちはそう主張していません。傾向は参考程度にとどめ、数字は食事記録での結果として読んでください。通知とペース表示のあるアプリは真ん中の条件を簡単にしたようなもので、空のスプレッドシートに一人で記録するのは、サポートなしの条件に近い形です。
選び方: いつも抜け落ちる文字から考える
目標に数値とゴールの日付がある。 Stridesはこの組み合わせを中心に作られたアプリで、iPhoneやiPad、Macを使っている人なら、まずこれを試してください。
目標が、締め切りの決まったプロジェクトに近い。 Todoistなら、作業する予定の日とは別に本当の締め切りを入れられます。予定日を何度動かしても締め切りの欄は別なので、長いプロジェクトでも期限を見失わずに済みます。
1日の量を毎日くり返したい。 TickTickです。習慣に1日あたりの量を入れられ、勉強のようにタイマーを使いたい作業も同じアプリで済みます。
進捗の定義を自分で決めたい。 Notionならできますが、料金は高めで、データベースの組み立ても自分の仕事になります。
まずは毎日開く習慣をつけたい。 1タップで記録できる継続する技術から始める手があります。
計画はできていて、実行が進まない。 Routineryは手順ごとに時間を計って、声で案内します。数字がペースどおりかどうかまでは表示しないので、目標の数字はほかの場所で管理することになります。
はじめ方: 目標を1つ、アプリにある欄に入れてみる
アプリを入れる前に、目標を1つだけ書き出します。単位、量、日付をつけてください。「本をもっと読む」なら「10月末まで毎日20ページ読む」。資格試験なら、「TOEICを頑張る」を「3月の公開テストまでに、毎日リスニングを30分」にします。SMARTでいえば、Sはリスニング、Mは1日30分。期限のTには3月のテスト日が入り、残るAとRは自分への質問になります。今の生活で毎日30分取れるか。仕事で英語を使う予定があるか。答えが出たら、S・M・Tを選んだアプリの欄に入れ、欄が足りない分は頭で覚えておくことになりますが、先ほどの申告時間の研究を考えると、あまり当てになりません。週ごとに分けないと始まらない目標なら、四半期ごとに目標を立てて毎日のタスクに分ける方法で、その前の段階を書いています。何もないところから始めるなら、目標値を決める前に習慣アプリはまず記録から始めるといい理由も読んでみてください。
よくある質問: SMARTの法則で目標管理できるアプリ
SMARTの法則で目標を立てて進捗管理できるアプリは?
Stridesが一番近いです。Targetトラッカーで数値と目標日を一緒に設定でき、ストアの説明にもSMART目標の設定を順に案内する機能が書かれています。タスクに分けられる目標ならTodoistで、作業する予定日とは別に期限の欄があります。毎日くり返す量は、TickTickの習慣で管理できます。進捗の定義を自分で決めたい人は、設定の手間を引き受ければNotionが使えます。Routineryには目標値と期限の欄がなく実行の段階を受け持つアプリで、継続する技術はその欄をストアの説明から確認できませんでした。どれが合うかは、つまずく文字次第です。
資格試験の目標を数字で管理できるアプリは?
数字の単位で選びます。「試験日までに過去問を8回分」のようにゴールが1回なら、StridesのTargetトラッカーに目標そのものの単位で入れられます。「毎日単語を50個」なら、TickTickで一定の量をこなす習慣を選び、1日の数を入れます。Notionでは、問題数でも点数でも、数える欄を自分で作れます。Todoistの目標は完了タスクの数なので、点数や問題数は入りません。Routineryにも目標値の欄はありません。欄の一覧は上の表にあります。
AとR(達成可能・関連性)まで面倒を見てくれるアプリはありますか?
その2つは、アプリを開く前に自分で決めることです。「簿記2級に1回で受かる」が今年の自分に現実的か、その目標がまだやりたいことにつながっているか。目標値の欄では、そこまでは判断できません。2025年に27人を対象にした質的研究では、理想の基準に手が届かないと感じた参加者は、量を減らして続けずに活動そのものをやめる傾向がありました。目標の大きさは、6本とも自分で決めることになります。
SMART目標のアプリは無料で使えますか?
6本とも無料で始められますが、制限の中身はかなり違います。Stridesは「ずっと無料」とうたい、トラッカー数の上限を公表しておらず、Plusでトラッカー無制限、端末間の同期、データの書き出しが加わります。Todoistの無料プランは個人プロジェクト5つまでで、期限の欄にはProかBusinessが必要。TickTickは習慣5つ、リスト19個、1リスト99タスクまで。Notionはワークスペースのメンバーが2人以上になると、無料プランの制限が厳しくなります。継続する技術の課金はおまけ機能だけ。Routineryはルーティン2つまで無料で、チェックリストは無制限です。SMARTの目標を入れようとすると、月額料金より先に「期限の欄は有料」「習慣は5つまで」といった無料プランの制限にぶつかります。
専用のSMARTアプリは必要ですか?ToDoリストでは足りませんか?
目標が日付つきのタスクにきれいに分けられるなら、ToDoリストで足ります。締め切りのあるプロジェクトの多くはこの形です。進捗が積み上がる量の場合は不向きです。項目にチェックを入れても、どれだけ積み上がったかは分からないからです。上で紹介した運搬の2つの研究も同じところで分かれていて、1つは積載率、もう1つは1日の運搬回数でした。自分の目標がどちらの形かでツールを選んでください。気にしている数字がタスクリストにもう入っているなら、専用アプリはいりません。
著者について。 Routineryチームが書きました。Routineryは上の表の6本のうちの1本で、欠けている2つの欄も、ほかのアプリと同じ表に書いています。
